ムック本「炭鉱遺産をゆく」に羽幌炭砿の三つの山が取り上げられました。
2021.11.29.
本日11月29日(月)、イカロス出版(東京都新宿区)より、"ムック本" の「炭鉱遺産をゆく」が全国の書店・アマゾン等のネット書店で発売され、羽幌炭砿の三つの山(築別炭砿、羽幌本坑、上羽幌坑)が取り上げられましたのでご紹介します。
本書は、現在も遺構が残されている全国各地の炭鉱施設の「現在」と「過去」を紹介することを目的としています。
羽幌炭砿については、昭和15(1940)年に開坑した築別炭砿、昭和23(1948)年に開坑した羽幌本坑、昭和22(1947)年に開坑した上羽幌坑の順に、それぞれの山の開坑の経緯、特徴、当時の炭鉱集落の状況、残された遺構の今と当時の状況について当記念館から提供させていただきました多くの画像を駆使して紹介されています。
本書の目次は次のとおりです。
・巻頭特集 近代炭鉱の遺構「軍艦島」に上陸
・巻頭特集2 近代日本を変えた! 主要炭鉱遺産(北海道、九州の炭鉱遺産を紹介)
・第1章 全国の炭鉱遺産ガイド《北海道》(築別炭砿、羽幌本坑、上羽幌坑が掲載されています)
・第2章 全国の炭鉱遺産ガイド《本州》
・第3章 全国の炭鉱遺産ガイド《九州・沖縄》
・第4章 炭鉱の基礎知識
羽幌炭砿および炭鉱遺産にご興味のある方は是非購入をご検討下さい。
なお、羽幌炭砿の三つの山の概要は次のとおりです。
〇築別炭砿
築別炭砿は昭和15(1940)年2月、他の二山(羽幌本坑と上羽幌坑)に先行して開坑以来、長年にわたり会社の屋台骨を支え続けた主力坑。二山に先行する形で合理化と技術革新を断行し、ピーク時(昭和36年度)の出炭量は約536,000トン。
左は、その堂々たる姿が人々を圧倒する貯炭場(ホッパー)の現在の姿です。
〇羽幌本坑
終戦後、会社(羽幌炭砿鉄道株式会社)は政府の「傾斜配分方式」に基づく新炭鉱開発推進の要請に応えるべく、上羽幌坑と羽幌本坑の開発に着手。羽幌本坑は上羽幌坑開坑の一年後、昭和23(1948)年8月に開坑。翌昭和24(1949)年2月、羽幌本坑と上羽幌坑が合併し、両坑は一体となって先行する築別炭砿に追いつくことを目標にした。ピーク時(昭和44年度)の出炭量は約467,000トン。
左は、偉容を誇る羽幌炭砿のシンボル的存在である運搬立坑の現在の姿です。
〇上羽幌坑
上羽幌坑は羽幌本坑開坑の一年前、昭和22(1947)年8月に開坑。ピーク時(昭和43年度)の出炭量は約262,000トン。
左は、索道貯炭場の現在の姿です。
羽幌炭砿は昭和30年代以降「中小炭鉱の雄」として隆盛を誇り、年間出炭量100万トン超えを5度も達成した優良炭鉱でしたが、石炭から石油への転換というエネルギー革命の荒波には抗しきれず昭和45(1970)11月、閉山を余儀なくされました。
閉山と同時に炭鉱の施設や設備はそのままの状態で放置されましたが、50年を経過した現在でも選炭工場・貯炭場、運搬立杭、坑口浴場、太陽小学校、病院、炭砿アパートなど数々の遺構が深い草叢に覆われた状態で残されています。
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