鈴木商店こぼれ話シリーズ㊿「松方幸次郎のロンドンでの活動拠点は、鈴木商店ロンドン出張所"船舶部分室"」をご紹介します。

2023.12.12.

 1200px-60-61_Mark_Street2C_London.JPG(60 Marklane EC3) - コピー.JPG松方幸次郎が自社(川崎造船所)の見込み建造貨物船(ストックボート)の売り込みと鉄材等資材の買付のため大正5(1916)年3月から大正7(1918)年7月までロンドン長期滞在に当たって、鈴木商店の金子直吉は、ロンドン出張所長・高畑誠一に指示して同店内に松方の専用室を用意したほか美術品収集資金の立替えの便宜をも図った。(写真は、松方幸次郎が活動拠点を置いた鈴木商店ロンドン出張所・船舶部分室"60 マークレーンEC3")

 松方が美術品の収集を始めたのは、第一次大戦中のロンドン滞在時のこと。イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパで西洋絵画・彫刻、日本の浮世絵を買い集めた。

 大正7(1918)年11月、第一次世界大戦が終結すると船価は暴落し、翌年1月には半値を割り込んでなお下落を続けた。造船各社はストックボートの運用先として海運会社の設立を模索、大正8(1919)年7月、川崎造船所・鈴木商店など9社から船舶の提供を受けて国際汽船が設立され、金子直吉が会長に就任した。

 大正10(1921)年、川崎造船所・川崎汽船・国際汽船の社長を兼任していた松方幸次郎は、ロンドンで3社が持つ船隊を共同運航する構想を表明し、3社のイニシャルから「Kライン」と名付けた。Kラインは鈴木商店を総代理店とし、大西洋航路を中心に収益をあげたが、川崎汽船や国際汽船の経営を好転させることは難しかった。

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