「栄町通散策ツアー」が開催されました。

2019.12.4.

higasikawasakimatihonten.png         東川崎町の鈴木商店本店(大正5年当時)と同本店跡地の「鈴木商店モニュメント」

一昨年より、神戸市にて鈴木商店に関係する講演会・勉強会(主催:神戸市)が継続して開催され好評を博しているところですが、初めての試みとして9月21日(土)に開催された女性のみのシンポジスト・コーディネーターによる「女性研究家から見た鈴木商店」シンポジウムに続いて、この度、これも初めての試みとして神戸市中央区内の鈴木商店ゆかりの地を訪ねる散策ツアーが開催されましたのでご紹介します。

【栄町通散策ツアー 概要】
P1090514 (1024x769).jpg日 時 : 令和元年11月30日(土) 10:00~12:30

企画名 : 神戸の"今と昔"が生きる街。栄町通散策ツアー ~鈴木商店ゆかりの地を訪ねて~ 

目 的 : 慶応3年12月7日(1868年1月1日)の神戸港開港後、急速に発展した栄町通は明治後期以降「東洋のウォール街」と呼ばれる程の繁栄を誇った。「洋糖引取商」として居留地の外国商館との取引からスタートし、栄町通を舞台に世界に飛躍した鈴木商店の軌跡を辿る。

コース : 神戸市立博物館(上の写真) ~ 旧居留地 ~ 海岸通の鈴木商店本店跡 ~ 旧居留地 ~ 栄町通3丁目の鈴木商店本店跡 ~ 栄町通4丁目の鈴木商店本店跡 ~ 東川崎町[現・中央区栄町通7丁目]の鈴木商店本店跡(鈴木商店モニュメント)~ 亀井堂総本店 ~ 解散(総距離:約2km)

参加者 : 「女性研究家から見た鈴木商店」シンポジウム(9/21)の参加者の中から抽選で選ばれた20名の方

主 催 : 神戸市(港湾局 計画部 港湾計画課)

ツアー引率・解説: 鈴木商店記念館の編集委員

IMG_20191112_0003.jpg                      旧居留地のガイドマップ

好天に恵まれたツアー当日、参加者の皆様には神戸市立博物館の京町筋を挟んで向い側の旧居留地83番館:ジャーディン・マセソン商会跡(現・三宮センチュリービル)の前にご参集いただきました。

まず、主催者である神戸市港湾局 計画部 港湾計画課・神木伸一氏のご挨拶から始まり、当記念館の小宮編集副委員長より、ツアーガイドを務める記念館のスタッフ(金子直三編集委員、鈴木 円氏、協力者として須磨歴史倶楽部理事長・小林善彦氏、劇団 LiveUpCapsules 主宰の脚本家・村田裕子氏)が紹介されました。

続いて、旧居留地のガイドマップ、当日訪れる各ポイントについて解説された"「栄町通散策ツアー」ルートガイド"等が配布され、早速、小宮編集副委員長よりジャーディン・マセソン商会および24番館:キルビー商会跡・旧横浜正金銀行神戸支店(現・神戸市立博物館)について解説がなされました。

P1090577.JPGその後、11月2日にリニューアルオープンした神戸市立博物館1階の常設展示室に移動し、同博物館の髙久智広学芸員に解説していただきながら、金子直吉直筆の長文の書簡「天下三分の宣誓書」や当時の「海岸通の鈴木商店本店」の建物も見られる旧居留地の精緻な復元模型(明治期のもの・昭和前期のもの)を見学しました。

※左は「天下三分の宣誓書」を見学中の参加者。



kaigandoorinohonten3.PNG                 海岸通の鈴木商店本店(左)と同本店跡地(右)

博物館見学の後は、ガイドマップの順路に沿って小宮編集副委員長の解説により、"海岸通の鈴木商店本店跡"、金子直吉が樟脳の空売り(先物取引)の失敗で巨額の損失を出し、解決のために短刀を懐にして"ハラキリ"覚悟で交渉に訪れたという102、101番館:シモン・エバース商会跡(現・三共生興スカイビル)、金子直吉が丁稚時代に訪れたラスぺ商会が強い関心を示したことがきっかけとなり、薄荷が鈴木商店創業時の主要品目の一つとなったという91、77番館:ラスペ商会跡(現・神戸銀行協会ビル、神栄ビル)をはじめ、かつて鈴木商店と取引関係があった外国商館跡等、旧居留地内を巡って行きました。

P10905912.JPG※旧居留地のゆかりの各ポイントにつきましては、末尾関連資料の"「栄町通散策ツアー」ルートガイド"および「栄町通散策ツアー・鈴木商店ゆかりの地を訪ねて」②をご覧下さい。

続いて旧居留地を後にして、明治後期には通りの両側に鈴木商店本店をはじめ三十四銀行、三十八銀行、三井銀行、横浜正金銀行、明治火災保険、岡崎汽船などの重厚な建物が建ち並び、「東洋のウォール街」と呼ばれる程の繁栄を誇っていた栄町通に入りました。

ここからは、金子直三編集委員の解説により、栄町通3丁目の鈴木商店本店跡(合名会社時代)、栄町通4丁目の鈴木商店本店跡(個人商店時代)、東川崎町(現・中央区栄町通7丁目)の鈴木商店本店跡(鈴木商店モニュメント)の順にゆかりの地を巡りました。

kanekonaozou.PNG最後に、創業期(明治7年当時)の鈴木商店にとって砂糖の大の得意先であり、互いに切磋琢磨して事業を拡大していった明治6(1873)年創業の亀井堂総本店を訪れ、同店創業者・松井佐助の玄孫に当たる松井隆昌氏より同店の沿革や鈴木商店創業者・鈴木岩治郎と松井佐助にまつわるエピソードをはじめ、「瓦せんべい」の製造手順、同店の数々の特徴ある商品などについても詳しく解説していただきました。

kameidousouhionnten.PNG※栄町通のゆかりの各ポイントにつきましては、末尾関連資料の"「栄町通散策ツアー」ルートガイド"および「栄町通散策ツアー・鈴木商店ゆかりの地を訪ねて」①をご覧下さい。

ツアーの終了に当たり、当記念館の金野和夫編集委員長より参加者の皆様にツアー参加への御礼の言葉が述べられました。

最後に主催者である神戸市港湾局 計画部 港湾計画課・田中謙次係長よりご挨拶があり、参加者の皆様は創業以来今に続く亀井堂総本店の「瓦せんべい」(特別に"カネ辰鈴木商店"の焼き印が押されたもの)の詰合せを携えて三々五々帰路につかれました。

参加者の皆様は、最後まで当記念館の編集委員の解説に熱心に耳を傾けておられ、ツアーは大好評の内に無事終了しました。今回のツアーを通じて、かつて発祥の地・神戸を舞台に世界に飛躍して行った鈴木商店について理解を深めていただくことに、少しでもお役にたてたなら幸いです。

第3回講演会の開催について
第3回講演会は12月14日(土)14:00~15:00、小林由佳氏(神戸新聞社 論説委員)による講演(演題: 松方コレクションと鈴木商店 ~盟友の夢を支えた金子直吉~)を予定しています。

※第3回講演会の参加申込みの受付は終了しています。

下記の関連資料、関連リンクもあわせご覧下さい。

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