松井佐助

神戸名物「瓦せんべい」の元祖・亀井堂総本店を創業

生年 安政2(1855)年
没年 昭和8(1933)年

大阪・天王寺区の生玉神社(正式には生國(いくくに)魂(たま)神社、通称生(いく)玉(たま)さん)の近くで貧乏士族の子として誕生。幼くして両親と死別、親族の下で丁稚奉公の後、神戸に出て菓子職人の修業を積む。

明治6(1873)年、松井佐助は神戸・元町の現在地に「亀井堂総本店」を創業し、瓦せんべいを考案しその元祖としての第一歩を踏み出した。当時は高価で入手しにくかった砂糖、卵等をふんだんに使い、洋風で斬新な菓子を売り出すとたちまち評判となり、「ぜいたくせんべい」や「ハイカラせんべい」とも呼ばれて神戸名物として名声を得た。

同じ頃明治7(1874)年、鈴木商店創業者の鈴木岩治郎が神戸元町の亀井堂に近い弁天浜に砂糖商・カネ辰鈴木商店を開業。菓子職人を目指し長崎で菓子修業をした岩治郎は、松井佐助と出会ったことから瓦せんべいの材料の砂糖を売り込み、亀井堂は創業期の鈴木商店の大の得意先であった。亀井堂の店先でせんべいを焼く佐助と火床を挟んで岩治郎が懇談していたと伝えられている。

明治23(1890)年、亀井堂は東京・上野で開催された内国勧業博覧会に出品すると神戸名産物として大好評を博したことから、上野広小路にのれん分け第一号店を開く。その後神戸市内、東京等にものれん分けを拡げ、瓦せんべいの普及に努めた。

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