「神戸製鋼所創業10周年写真集」をご紹介します。

2021.1.16.

sy,asinsyuu.PNGこの度、長年にわたり鈴木商店の発展を支えた名支配人、西川文蔵のご親族から当記念館に「神戸製鋼所創立10周年写真集」(大正4年9月25日発行、左の写真)を寄贈していただきましたのでご紹介します。

この写真集は明治38(1905)年9月1日に鈴木商店が神戸の小林製鋼所を買収し、神戸製鋼所に改称してから10年の節目に発行され、工場の沿革・場所、設備、製造能力、主要製品の解説と合わせて工場、製品等の写真62枚が掲載された大変貴重なものです。


この写真集の総ページ数は75で、構成は次の通りです。

① 同社社長、(二代目)鈴木岩治郎 の序文 1P
② 工場の沿革、位置、設備、製造能力、主要製品(鋳鋼品、鍛鋼品、組立製品、工具類)の解説 5P
③ 出張所・代理店 1P
④ 神戸製鋼所付近地図 1P
⑤ 工場、製品等の写真 62P
⑥ その他 5P
※英文の解説も付されています。

下記関連資料に、工場、製品等の写真20枚を含む写真集の抜粋を掲載しましたのでご覧下さい。

明治38(1905)年に鈴木商店の一部門となった神戸製鋼所は、官営八幡製鉄所をもってしても一時高炉の休止を余儀なくされるという困難を極めた鉄鋼業に果敢に挑んでいきましたが、4年間の長きにわたり経営不振が続き、金子直吉と支配人の田宮嘉右衛門の二人は幾度も工場閉鎖を考えるほどの苦境に陥りました。

そんな最中の明治40(1907)年、鈴木商店は福岡県企救郡大里町の大里製糖所を大日本製糖に売却することにより400万円という巨額の利益を獲得します。神戸製鋼所はこの売却資金を基にして10トン炉一基、15トンクレーン1基の増設を始めとする設備の増強を順次進め、政府の民間企業への奨励策と相俟って明治42(1909)年頃から経営が軌道に乗り始めます。

明治44(1911)年6月28日、同社は呉海軍工廠を始めとする海軍からの受注拡大を機に鈴木商店から分離し、株式会社神戸製鋼所として独立すると、さらなる事業の拡大と設備の増強を進めていきました。

koujyou3.PNGこの写真集が発行された大正4(1915)年は第一次世界大戦が勃発した翌年に当たり、当時同社は次々に先進技術を導入し、船舶用の空気圧縮機、大型蒸気機関、製糖機械等の国産化を推進するなど鋳鋼メーカーに加えて機械メーカーとしての道を歩み始め、躍進の緒に就いた頃に当たります。

掲載されている数々の写真からは、当時の工場の活況が伝わって来るようです。(上は、当時の工場俯瞰写真と第二機械工場内部の写真です)

なお、当時第二代社長であった(二代目)鈴木岩治郎(大正4(1915)年から同9(1920)年の間、社長を務める)の序文は一部 "くずし字" で記されていることから、下記関連資料に「書き下し文」を掲載しましたのであわせてご覧ください。

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