北海道羽幌町にて羽幌炭砿閉山55年記念事業「羽幌炭砿三山大集会」が開催されました。

2025.10.5.

haborohonkouunpantatekoumakiagetou.jpgかつて北海道の羽幌町には、鈴木商店の経営破綻後に金子直吉が鈴木家再興の夢を実現すべく、鈴木商店傘下の太陽曹達(後・太陽産業、現・太陽鉱工)が開発を進め昭和15(1940)年2月に開坑した羽幌炭砿が存在していました。

羽幌炭砿は築別炭砿羽幌本坑上羽幌坑の三つの炭砿(ヤマ)から成り、昭和30年代中頃から40年代前半にかけて年間出炭量が100万トンを超えること数回を数え、「中小炭鉱の雄」と称されるほどの繁栄を誇りました。しかし、その後のエネルギー革命の荒波には抗しきれず、昭和45(1970)年11月に閉山を余儀なくされました。(左の写真は羽幌炭砿の遺構の一つ、偉容を誇る「運搬立坑巻上げ塔」です。)

同炭鉱が閉山55年を迎た今秋、羽幌町に元炭砿関係者、元探鉱の住人、炭砿・鉄道の愛好家など約130人が参集し、記念事業「羽幌炭砿三山大集会」が開催されましたのでご紹介します。

このイベントは去る令和2(2020)年9月に「羽幌炭砿閉山50年記念事業」として開催される予定でしたが新型コロナウイルスの感染急拡大により延期を余儀なくされ、本年に至ったものです。

【イベントの内容】
■日 時: 令和7(2025)年9月27日(土)午後5時~
             9月28日(日)午前8時25分~     

■会 場: はぼろ温泉サンセットプラザ(北海道苫前郡羽幌町北3条1丁目29番地)      

■主 催: 羽幌炭砿ファンクラブ(代表 室田憲作)

■開催内容: ◇ 9月27日(土)(於: サンセットプラザ2階 サンセットホール)
       ① ご挨拶 午後5時~5時20分        

       ② 講 談  午後5時20分~6時
         講談師: 旭堂きょくどう南龍なんりゅう(上方講談師 真打)
         演目: 鈴木商店発 羽幌炭砿物語
         旭堂南龍さんのプロフィール: 2018年 上方講談会で27年ぶりに真打昇進、
         2019年 大阪市「咲くやこの花賞」受賞、2021年 第76回「文化庁芸術祭」新人賞受賞

       ③ 交流会 午後6時30分~8時30分         

      ◇9月28日(日)(サンセットプラザ発・着)
       ④ 三山炭砿巡り~懐かしい炭砿(ヤマ)を訪ねて~ 午前8時25分~11時30分         

■協 賛 太陽鉱工株式会社

■後 援 羽幌町、るもい農業協同組合、北るもい漁業協同組合、はぼろ温泉サンセットプラザ、沿岸バス株式会社、
     鈴木商店記念館

<「羽幌炭砿三山大集会」の概要>
◇9月27日(土)17:00~

「羽幌炭砿三山大集会」は羽幌炭砿ファンクラブ副代表・菊地 瞳様の司会で始まりました。

冒頭のご挨拶に先立ち、地元の混成合唱団「はぼろコールスマイル」によるコーラス「炭砿(ヤマ)がふるさと」(作詞、作曲・三浦義之副町長)が披露されました。     

kikutisanhaborokoorusumairu.png        羽幌炭砿ファンクラブ副代表・菊地 瞳様と「はぼろコールスマイル」によるコーラス

【ご挨拶】
P1100509.JPG主催者の羽幌炭砿ファンクラブ代表・室田憲作様より開会のご挨拶があり、この度の「羽幌炭砿三山大集会」開催に至る経緯や閉山当時の炭砿の様子等が語られ、開催に当ってご協力いただいた全ての方々、参加いただいた方々への謝意が伝えられました。




【講 談】
講談の前には、羽幌炭砿の歴史や当時の炭砿の様子がよく分かる約15分のDVD「羽幌炭砿~黒いダイヤに夢を賭けた物語~」が放映されました。

koudannkai.png〇 演目: 鈴木商店発 羽幌炭砿物語
講談師・旭堂きょくどう南龍なんりゅうさんにより、羽幌炭砿が如何にして誕生したのか、鈴木商店、金子直吉、高畑誠一との関係、創業後の幾多の苦難を乗り越えて「中小炭鉱の雄」と称された繁栄を誇るも閉山を余儀なくされた歴史、炭砿での暮らし振り、盛んだったスポーツ、炭砿の住民にとって青天の霹靂だった閉山、炭砿に残された小学生の切ない思いなどが約40分にわたり切々と語られ、ある場面では気迫に満ち、またある場面では心に染み入る語り口で参加者全員が深い感動を覚える名演でした。

講談の終了後、講談の原作者、双日の小林正幸様の経歴やこれまでの活動が紹介されました。

なお、当記念館は講談をより深くご理解いただくため、参加者向けに「幻の総合商社 鈴木商店」と「金子直吉」の2点の資料を作成し、配布していただきました。(資料の内容につきましては、下記の関連資料をご覧下さい)

【交流会】
・ご挨拶: 羽幌町長 森 淳様
・乾杯のご発声: 太陽鉱工代表取締社長・鈴木 一史様
かつて羽幌炭砿鉄道の親会社であった太陽産業の後継会社・太陽鉱工の代表取締社長・鈴木 一史様より、ご挨拶と乾杯のご発声を頂きました。               

morityoutyoutosuzukisyatyou.png                   森 淳町長(左)と鈴木 一史社長

交流会の参加者約100名の方々は、羽幌町名物の "甘えび" や地元の "オロロン米" を始めとするご馳走に舌鼓を打ちつつ、再会に思い出話に花を咲かせたり、久方振りの親交を楽しんでおられました。 

会の中頃、司会者より次15名の方々が紹介されました。
P1100565.JPG鈴木 一史様(太陽鉱工代表取締社長)、鈴木 理子様(鈴木社長のご息女)、鈴木 絢子様(鈴木社長のご息女)、中村 清次郎様(太陽鉱工総務部総務課)、栁田 祥三様(柳田富士松のご令孫、大阪大学名誉教授、工学博士)、市原 猛志様(熊本学園大学準教授、工学博士)、梅原 尚人様(元・神戸製鋼所副社長)、吉川 哲也様(コベルコビジネスパートナーズ専務取締役)、嶽本 幸一様(シンフォニアテクノロジー・グループ長)、郡司 哲夫様(元・羽幌炭砿鉄道社員、元・シンフォニアテクノロジー社員)、郡司 千恵子様(郡司哲夫様の奥様)、青木 正実様(元・サッポロビール社員)、小林 正幸様(双日人事第二部専門部長)、小宮 由次(鈴木商店記念館編集委員長)、金子 直三(鈴木商店記念館編集副委員長)

その後、羽幌町出身の演歌歌手・天乃(あまの)心都(みこと)さんの特別公演により華やかな彩りが添えられ、最後に関係者毎に記念撮影が行われました。

・閉会のご挨拶: 羽幌炭砿ファンクラブ副代表 菊池 瞳

<三山炭砿巡り~懐かしい炭砿(ヤマ)を訪ねて~>の概要
◇9月28日(日)
・8:25 「はぼろ温泉サンセットプラザ」出発(参加者はバス1台と車数台に乗車)

・9:15頃~11:10頃 三つのヤマの遺構(*)を見学

(*)第二橋梁(バス・車の中から見学)、第3橋梁(主にレールによる橋台の補強部分)、羽幌炭砿鉄道病院辰巳橋築別炭砿消防団庁舎炭砿アパート築別炭鉱の貯炭場(ホッパー)羽幌本坑の貯炭場(ホッパー)同 選炭工場同 運搬立坑巻上げ塔内部羽幌本坑坑口

建物の崩落や熊出没の恐れ等の理由により、築別炭砿の太陽小学校や上羽幌坑の索道貯炭場を訪れる事が叶わなかったことは少々残念でした。

ikoumeguri1.pngtatumibasitotankouapaato.pngikoumegurri2.png今回訪れた遺構の写真は下記の関連資料 "「三山炭砿巡り」(2025.9.28)で訪れた羽幌炭砿の遺構" をご覧下さい。

・11:30 「はぼろ温泉サンセットプラザ」到着

参加者約45人は、ヤマの案内人・工藤俊也様から詳細な説明を受けながら三つのヤマ(築別炭砿、羽幌本坑、上羽幌坑)の遺構を巡りました。荒廃が進行している遺構を目の当たりにした参加者は思い思いにカメラのシャッターを切り、かつての炭砿に思いを馳せていました。途中で記念撮影も行われ、全てのスケジュールが終了しました。

講談とそれに続く交流会、三山炭砿巡りと2日間にわたる「羽幌炭砿大同窓会」は主催者「羽幌炭砿ファンクラブ」の皆様のご尽力と、協賛・後援の皆様のご協力を得て盛況のうちに幕を閉じました。

なお、一月前の8月26日(火)には羽幌町主催の中高生(一部一般の方を含む)を対象とした「令和7年度羽幌町芸術鑑賞事業」として、同じく旭堂南龍さんによる講談「鈴木商店発 羽幌炭砿物語」(内容は9月27日と同様)が「羽幌町立中央公民館」大ホールにて開催されました。約330名の方が参加し、中には感動のあまり涙ぐむ人もおられ、盛況の内に終了しました。

10年前の平成27(2015)年9月には、同炭砿閉山45年記念事業「羽幌炭砿大同窓会」が羽幌町で開催されました。この時のイベントの内容・様子については下記の関連リンクをご覧下さい。

関連資料

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