辰巳橋の渡り初め(羽幌炭砿の社報:昭和38年12月2日付「石炭羽幌」より)

築別炭砿駅を降りて炭鉱の中心部へ向かう時、人々は必ずこの橋を渡らなければならなかった。すなわち、築別炭砿事務所方面に通じるメインストリートの途中に築別川が流れており、そこに架かる橋が「辰巳橋」である。橋の名称は、かつて鈴木商店の先代・鈴木岩治郎が番頭として働きその後鈴木商店が暖簾を譲り受けた「辰巳屋」に由来する。鉱員が炭坑に入るために使用する橋であり、住民が役場支所、消防本部、会館、クラブ、配給所、生協、大五百貨店、映画館、スキー場、ジャンプ台、さらには大山祇神社への参拝、お祭りの出店、花火大会、などに行くためには必ず通る、生活に密着したなくてはならない橋であった。辰巳橋は羽幌炭砿創業期の昭和16(1941)年に架設された。その後昭和31(1956)年に架け換えられたが幅員4.5㍍とあって大型バス、トラックの通行は幅ギリギリ一杯で通行量も急増していたことから架け替え工事を行い、昭和38(1963)年11月、住民のだれもが待ち望んでいた幅員9㍍(内「人道」3㍍)、全長37㍍の鉄筋コンクリート造りのスマートな永久橋が完成した。同年11月29日、橋の前で関係者200名が参列して竣工式が行われ、その後炭鉱創業前から当地に住んでおられたご夫婦3組が神官に先導され、太陽中学校のブラスバンド、幼稚園児170名のうち振る日の丸の小旗の中、渡り初めが盛大に行われた。

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