築別炭砿左四片スライシング下段払いカッペ延長作業(昭和35年頃)

写真は築別炭砿の坑内において「スライシング採炭」実施中の炭層上下二段のうち下段の切羽について、カッペ延長作業中の現場である。[作業員の方が上部の天盤に取り付けようとしている金属製のものが「カッペ」である。](「羽幌炭砿創立20周年写真集」より)                                                                                          『昭和30(1955)年頃、築別炭砿の炭層は厚いため採炭の際に相当の残炭を生じていた。炭層のすべてを採炭すべく、北海道でも三菱大夕張炭鉱と北炭(北海道炭砿汽船株式会社)でしか行っていなかった「スライシング採炭」を計画。本格的にスライシング方式に移行したのは昭和34(1959)年8月であった。それまでは2.9㍍の鉄柱で一段払採炭を行い、鉄柱回収の際に崩落してくる石炭をすくい出すという方法を採っていたが、払後の残炭回収は困難を極め実収率は炭層の70%に留まっていた。しかも残炭が自然発火の原因ともなっていた。「スライシング採炭」の狙いは炭層の100%採炭にあった。このため炭丈4.5㍍余の層を上下二段に分けて上段の2.5㍍を採炭し、これより30㍍遅れて下段の2㍍を払う。上段払いの際に採炭し終わった下盤に板を敷きつめておくと、払ったあとの天盤は板の位置まで下がってきて人口天盤になる。そこで下段払いは人口天盤を「カッペ」で受けて採炭するという流れであった。この「スライシング採炭」により実収率は格段に向上し、自然発火の危険もなくなった。』                                                                                       ※出典は「羽幌炭鉱小史」(近藤清徹著)                                                                             〇「スライシング採炭」とは炭層が厚い場合、その炭層を2枚以上の傾斜分層に区分して上段の採掘より15~30㍍遅れて下段を採掘して行く採炭方法で、上段採炭のときに下盤に厚板を敷き下段切羽(採炭現場)の直接天盤とする。                                                                                 〇「払い」とは採炭切羽、また採炭そのものを指す。                                                                                    〇「カッペ」(Kappe)とは切羽の天盤を支持するため鉄柱と組み合わせて使用される連結式の金属製の梁(はり)である。

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