金子直吉の著書「経済野話」シリーズ ⑦「金輸出禁止論」を掲載します。

2016.8.16.



0000000096712金解禁記念メダル - コピー.jpg金子直吉は「通貨論」に引き続いて、わが国の経済界を救済するには通貨の増加と金利の引き下げが必要であり、金の輸出禁止、在外正貨の売り止めを徹底しなければ無意味な結果になると「金輸出禁止論」を主張しています。

大正3(1914)年、第一次世界大戦が勃発すると主要各国は自国から金の流出を危惧して金輸出禁止を実施しました。日本も大正6(1917)年に金輸出禁止に踏み切りました。 しかし大正7(1918)年、大戦終結するといち早くアメリカは、金輸出を解禁し金本位制に復帰、遅れてイギリス、ドイツが金本位制に復帰しました。

これに対し、日本の金本位制復帰は大幅に遅れ、昭和5(1930)になって濱口内閣(大蔵大臣・井上準之助)は金解禁に踏み切りましたが、世界大恐慌の真っただ中で旧平価による金本位制移行から日本経済の混乱を引き起こし、金解禁策は失敗とされました。

翌昭和6(1931)年、犬養内閣は事態収拾を図るため金輸出再禁止を実施し、日本の金本位制は幕を閉じました。

このように金輸出政策は、その実施タイミングが極めて重要ですが、金子は一貫して金輸出禁止策を主張しました。 詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

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