神戸新聞の連載「遙かな海路 巨大商社・鈴木商店が残したもの」の第9回をご紹介します。

2016.7.17.

taiwannhakubutukan7.PNG神戸新聞の連載「遙かな海路 巨大商社・鈴木商店が残したもの」の本編「第2部 世界へ(9)拡大へのカンフル剤 台湾特産品 樟脳に勝機」が、7月17日(日)の神戸新聞に掲載されました。

今回の記事は本年5月下旬、当記念館と神戸新聞社が実施しました台湾の取材他に基づいて同紙が執筆されたものです。取材陣は5月22日(日)、前回の編集委員会ブログ(2016.7.10)にてご紹介しました台北市中心部の国立台湾博物館(旧・台湾総督府博物館)とともに同博物館の分館・「南門園区」を訪れました。翌23日(月)には台湾の東北部に移動し、宜蘭を訪れました。

記事では、台湾の樟脳産業に関する博物館「南門園区」の様子、金子直吉が後藤新平と面談し信頼を勝ち得て台湾での樟脳油の65%の販売権を獲得するまでの経緯、日本国内での再生樟脳工場の建設、宜蘭における鈴木商店の事業展開などが描かれています。 

taiwannhakubutukan4.PNG冒頭の写真と上の写真は、国立台湾博物館の「南門園区」の様子です。

台湾総督府専売局台北南門工場は明治32(1899)年に建設され、樟脳とアヘンの加工製造工場として当時アジア一の規模を誇る重要拠点でした。同工場は、第二次大戦後も中華民国・国民政府による樟脳の専売事業継続に伴い稼働してきましたが、昭和42(1967)年の樟脳事業民営化に伴い閉鎖され、平成25(2013)年11月末に国立台湾博物館の「南門園区」(博物館)として生まれ変わり、一般公開されました。

辰野金吾の設計による「紅楼」内には、当時のアヘン製造の模様や樟脳の精製工程のパネル、製脳工具、工場レイアウトの模型、樟脳神社「久須乃木神社」の模型などと並んで、鈴木商店の紹介パネル(上の写真左)が展示されています。

鈴木商店と宜蘭との縁は深く、明治34(1901)年に2代目鈴木岩治郎が宜蘭で官営製脳を請け負い、その後、小松楠彌や波江野吉太郎ら鈴木商店ゆかりの事業家が合流し、宜蘭山麓で大規模な製脳事業を展開しました。明治36(1903)年には小松、波江野が中心となって台湾製脳合名会社を設立しています。

地元資本による製糖工場を買収し、大正4(1915)年に設立されたのが宜蘭殖産で、前述の小松、波江野に、鈴木商店からは金子直吉、辻湊、平高寅太郎、後藤組からは川合良男が加わって共同出資会社として発足し、製糖のほか、電灯、軽便鉄道、製氷、林業、土地開発などに従事しました。

giransetujikinenkan2.PNG上の写真(右)は、宜蘭設治記念館(所在地:宜蘭市舊城南路力行3巷3号)です。同記念館は、明治39(1906)年に宜蘭庁(後に宜蘭郡を経て宜蘭県)の歴代首長公邸として建設された木造建物を、資料館として一般公開したものです。同公邸は和洋折衷建築の建物で、敷地面積800坪、建坪74坪、庭内には(くすのき)の大木が植えられており、宜蘭に関わる近代政治文物のほか蘭陽地域の歴史・写真等が展示されています。

第6代宜蘭庁長・小松吉久は、明治42(1909)年から大正9(1920)年まで11年間にわたって首長を務めた後、鈴木商店系列の日本殖産取締役、台湾炭業社長、朝日製糖社長に就任しました。宜蘭郊外の円山公園にある宜蘭神社跡には、小松吉久が奉献した石柱(上の写真左)が遺されています。

giranndennki2.PNG上の写真は台湾電力公司・蘭陽発電廠(所在地:宜蘭県三星郷天山村電力路25号)で、鈴木商店が設立した宜蘭電気を起源とする水力発電所です。

明治42(1909)年、鈴木商店を中心に設立された宜蘭電気は、前述の宜蘭殖産と関係が深い台南製糖、二結製糖所向け電力供給のため水力発電を計画し、大正2(1913)年に送電を開始。同時に近隣の村々に豊かな灌漑用水を供給しました。社長には小松楠彌、取締役には波江野吉太郎、辻湊ら鈴木商店関係者が就任しています。

資金難から大正10(1921)年、宜蘭電気のほか台南製糖、旧・台湾電力、3社により台湾電気興業が設立され、翌年、蘭陽発電所による送電を開始します。鈴木商店破たん後、同発電所は台南製糖、台湾電力に引き継がれ、戦後は台湾電力公司の経営となり、今なお宜蘭の人々に電力を供給し、田畑を潤し続けています。

私ども取材陣の訪問時には補修修工事中の予定でしたが、事前に補修・清掃を終えられるなどご配慮をいただき、王進龍工場長、林炳炎氏(元・台湾電力公司役員)、同発電廠の各課長、洪致文氏(国立台湾師範大学地理学系教授)らにより発電所の敷地内をご案内いただきました。

下記関連リンクの神戸新聞社・電子版「神戸新聞NEXT」から記事の一部をご覧下いただくことができます。

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