櫻麦酒のCMソング

明治45(1912)年、九州初の本格的ビール会社として鈴木商店により九州・大里(門司)に設立された「帝国麦酒」は、「サクラビール」の銘柄で発売され、国内のみならず中国大陸や東南アジアを始め世界各国に輸出されました。

大正期のビール業界で先発の大日本麦酒、麒麟麦酒に次ぐ第三位のシェア(10%)を占めるまでに発展しましたが、鈴木破綻後の昭和4(1929)年、社名を櫻麦酒に変更、昭和18(1943)年、大日本麦酒と合併するまで約30年にわたってサクラビールは広く親しまれました。

この度、神戸在住の方より昭和初期に櫻麦酒により制作されたCMソングのレコードをご紹介いただきました。「さくら音頭」(写真右、作歌鹿島浦風、作曲長津彌)と「櫻まつり」(写真左、作詞蒲田通夫、作曲山野芳夫)の2枚のレコードをオークションで入手されたもの。いずれのレコードもご親族で昭和初期の著名な歌謡歌手の横田良一さんが歌うナツメロ調の軽快なメロディーの曲です。

同時期に作詞、作曲の異なる同名のレコードが幾つも発売されましたが、この2枚のレコードは櫻麦酒が宣伝のため日本橋・高島屋レコード部に依頼し、昭和9(1934)年春にレコーディングされたものです。(レコードスリーブに日本橋・高島屋の社名が、レコード盤には高島屋グラモフォンレコード部が印刷されています。)

関連資料

  • 櫻まつり(左)とさくら音頭(右)
  • 櫻麦酒のCMレコードスリーブ

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