①台湾鉄工所(現・東南水泥(セメント)股份有限公司)

鈴木商店・神戸製鋼所の共同事業としてスタート

明治43(1910)年、北港製糖を設立した鈴木商店は、台南に北港製糖所、台中に月眉製糖所を相次いで建設。両工場向 け製糖機械を英、独より輸入するに際し、鈴木商店は将来、製糖機械を国産化すべく神戸製鋼所による事業化を計画した。

高雄市橋仔頭区に藤木三郎ほかによって建設された三井系「台湾製糖」(戦後、台湾糖業公司を経て現・台湾糖業博物館)に隣接して大正8(1919)年、「台湾鉄工所」が設立され製糖用機械の製造・修理を開始。                                   

台湾鉄工所は、当初、神戸製鋼所の分工場とすべく計画されたが、神戸製鋼所の台湾市場への進出に脅威を覚えた製糖機械メーカーの田中機械製作所の強い要請により、同製作所の出資を受け入れ、同時にユーザーである製糖各社の出資を得てスタート。(資本金200万円、鈴木&神戸製鋼所25%,田中機械12.5%,製糖各社62.5%

台湾における製糖業の発展により業容を拡大した台湾鉄工所は高雄市前金区に移転。戦後、同鉄工所は、「東南水泥股份有限公司」の所有となった。同社セメント工場のうち、台湾鉄工所時代の建屋は倉庫として使用されて来たが、高雄市臨海地区整備事業のため、20166月に取り壊しが決まっており、これにより台湾鉄工所の遺跡は消滅する。

  • 台湾糖業博物館内の製糖工廠修護所(台湾鉄工所)説明板
  • 台湾鉄工所(高雄新工場(左)、東南水泥(セメント)内に残る台湾鉄工所時代の建物(右))
  • 台湾糖業博物館内の糖業工廠(台湾鉄工所)の機械設備

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