⑦鈴木商店函館支店、樺太漁業

小樽支店と南北相呼応する拠点として設置された函館支店

鈴木商店函館支店は、大正3(1914)年に函館市仲濱町12番地(現在の大町9丁目)に開設。支店長・本荘利三郎のもと根室、室蘭の2出張所を有する陣容でスタートした。

取扱い商品は、主として海産物であり塩、砂糖、焼酎、石油、ブリキ、鉄器、豆粕、肥料を本州から売り込み、海産物、塩鱒、魚油、缶詰、硫黄、雑穀類を道内より買い入れるという取引形態であった。

鈴木商店の主要品目の一つである塩については専売局の漁業塩の取扱いのほか、系列の大日本塩業(現・日塩)の"通過貿易塩"*の取扱いも始めた。

(*元来カムチャッカ、北千島に出漁する船が函館で積み込む塩は、専売局の本州産塩に限られ、税金の払戻しを受ける制度であったが、英国、スペイン、エジプト等の良質の外国製塩を使用する場合、一度内地の保税倉庫に入れ、積戻しの方法をとれば簡単な手続きで使用することが可能となった。)

さらに函館支店では、函館港内5万坪の埋立工事に着手したほ七飯ななえ村に七飯農場を経営、さらに輸出向け海産物等の200坪の缶詰工場建設を計画し、函館支店の主力事業とした。

なお、鈴木商店函館支店内には関係会社「樺太漁業」の事務所が置かれ、函館を拠点として北洋トロール漁の操業が行われた。同社のトロール船「第一鶚丸(みさごまる)」「第二鶚丸」は、播磨造船所により建造された。(播磨造船50年史・建造船一覧表から)また、「第三鶚丸」~「第八鶚丸」は、鳥羽造船所により建造された。これらの船舶は、第二次世界大戦時、海軍の特設駆潜艇として徴用された。

関連資料

  • 函館市仲濱町通り風景
  • 明治9年頃の函館港 地蔵町の波止場から東濱町・仲濱町海岸を望む
  • 七重(七飯)官営水車場近景(明治中期)

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