⑨安東縣

満州産「柞蚕糸」の日本向け輸出拠点

 満州国にかつて存在した安東省(1934年、奉天省・安東縣他11県を統合して新設された。)は、省公署を安東縣に置いていた。安東縣の下部行政区画には、安東市(現・遼寧省丹東市)ほか5区画が置かれた。 

 安東縣は、柞蚕業(さくさんぎょう)が盛んで、柞蚕糸(野生の蚕から採る糸、タッサー絹)の集散地でもある。鈴木商店安東縣出張所は、満州産(安東縣産)柞蚕糸の日本向け輸出を手掛けていた。鈴木商店安東縣出張所編「満州に於ける柞蚕業」(大正10年発行)が残されている。

 関連資料:藤原長司>安東縣出張所 / タッサーシルク 

 *柞蚕糸(タッサー絹):屋外で生育する野蚕種。普通の絹よりも強いが、漂白に弱いため天然色の淡褐色のまま使用される。白い絹糸よりも張りがあるので、軽く編んでもふにゃふにゃとならずに形を保つ。光沢もあるので、ポーチやバッグ、ショールなど身に着けるアイテムを編むのに適する。

  

関連資料

  • 安東市街全景(安東縣名勝十六景のうち)
  • 柞蚕糸(タッサーシルク)
  • 鈴木商店安東縣出張所編「満州に於ける柞蚕業」(大正10年)

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