③鈴木商店時代の赤煉瓦倉庫

鈴木商店の紋章が全国で唯一残る歴史的建造物

IHI相生事業所の工場群の北端に赤煉瓦造りの倉庫がある。この赤煉瓦倉庫は、鈴木商店時代に相生に建てられた建築物で唯一残存しているものである。近年、東側の建物が撤去されたので、対岸から見ることができるようになった。

鈴木商店ネット記念館の作成にあたり、IHI相生事業所を訪問して、赤煉瓦倉庫のなかを見学することができた。倉庫は空き家になっており、かつて行われていた陸上運動会の用具などがわずかに保管されている。

赤煉瓦倉庫の正面には、鈴木商店の「米」の社章が刻まれている。神戸新聞(1990.01.28)の記事によると、「米」マークは御影石(花崗岩)で造られており、鈴木商店の紋章が全国でただ一つ残されている歴史的建造物であり、「米」マークを残すことで事業所と市教委が合意していると伝えている。

赤煉瓦倉庫の外観が左右対称でないことに疑問を持ち、古い資料を調べてみると、この倉庫らしい建物が写っている絵葉書を見つけた。絵葉書の一部分を拡大しているためぼやけているが、左端が赤煉瓦倉庫ではないかと思われる。

この絵葉書は、神戸製鋼所播磨造船工場時代の大正11(1922)年頃のものである。この画像と上の写真を比較すると、道路拡張のため左の角を斜めにカットする形で改築されたと推定される。

  • 正面から見る赤煉瓦倉庫
  • 町から対岸の赤煉瓦倉庫を見る
  • 大正11年頃の絵葉書(部分)

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